田辺市出身ですが、就職活動をするまでは正直言って、地元の企業で働くイメージが湧いていませんでした。大学3年生の時に初めてUターンフェアに参加して、思ったよりもたくさんの企業があることを知りました。実家は農家。新鮮な野菜があることは当たり前でしたが、大学進学で大阪に住むようになって鮮度の違いや価格の高さにびっくり。そこから農業に興味を持ちました。学生時代のアルバイト経験から、接客の仕事に就きたいという思いもありました。4年生に進級する春休みに「よってって」でインターンを経験。売り場の活気に触れ、生産者とお客さまの距離の近さにすごく引かれました。農業と接客という二つのやりたいことが実現できる職場は、ここしかないと思いました。
2階の売り場を担当しています。梅関連商品の販売とカフェコーナーがあり、接客をしたり、売り場のレイアウトやカフェの新メニューを考えたりしています。直売所の仕事は、生産者にお客さまの声を、お客さまには生産者の思いを伝える橋渡し役。お客さまにミカンや梅干しをお薦めするとしても、自分で実際に味わって自分の言葉で伝えないと、説得力がありません。どういった味を求めておられるのか、贈答用か、家庭用かでも違ってきます。お客さまのニーズに合った商品を提案することが、難しくもあり、やりがいでもあります。大学時代は調理と製菓を学び、ゼミで焼き芋について研究。品種によってどの焼き方がおいしいかを調べました。昨年末から売り場で焼き芋を販売することになり、大学での経験が生かせています。
田辺は、すごく食に恵まれた場所だと実感しています。田辺のことを知ってくれている県外の人も意外と多く、Uターン就職することで地元のいいところを再発見できたことがうれしいです。 中学校の先生や塾の先生など、お世話になった人たちに自分が働いている姿を見せて「成長したな」と言ってもらえることも喜びです。
周辺には地元の食材を使ったおしゃれなカフェが多いので、友人とドライブしてお店巡りをするのが楽しみです。でも、お店のレイアウトなどついつい気になって見てしまいます。いつも頭の片隅で仕事のことを考えてしまう。今は仕事がとても楽しいです。
取材:紀伊民報